第285回 へいか
2019-11-01
その方とは、美波町のなじみの居酒屋「つくし」で出会いました。
新入り店員と常連の酔客としての出会いでした。
大阪出身のその方は、都会暮らしに疲れ果て、四国遍路旅の先で美波町に流れ着き、「つくし」に居候バイトとして転がり込んだのだと聞きました。
ニックネームをつけることに関しては、有吉さんや滝沢カレンさんも負けないと自負する私。
お若い頃の昭和天皇を思わせるどこか高貴な風貌に、思わず「へいか(陛下)」と呼びました。
その時以来、その方は本名は知られずとも、「へいか」として町で覚えられるようになりました。
彼は元プログラマーでした。
やがて彼は当社にアルバイトプログラマーとなり、彼の座る席は玉座と呼ばれるようになりました。
真面目な姿勢は同僚からも評価され、このたび正社員になってもらうことになりました。
そんな彼が、地元美波町の日和佐小学校の全校生徒と保護者の前で”インターネット利用の危険性”についての講演をしました。
私は同校に通う息子の保護者として講義に参加させていただきました。
子どもたちは彼の話を真剣に聞き、そして、質問にも積極的に参加していました。
息子は「へいかのお話し、もっと皆に聞かせたいと思う!」と目を輝かせて言いました。
小さな町に流れ着いて僅か半年の者にも子どもたちに与えられることがある。
子どもたちは素直に受け入れてくれる。
田舎には役割があり、そして、子どもたちにその背中を見せることが出来る。
私はそんな田舎と子どもたち、そしてへいかを素敵だと思う。