第270回 乞食

単なるケチか?想像力の絶対的な不足か?
例えばデザイン
例えばアイデア
例えばノウハウ
一見、原価がかかっていないように見えるものに対して、お金を払おうとしない人がいます。
相手が何を糧にしているかを想像せずに、実に軽々しく頼みます。
悪びれている様子もありません。
価値と同時に、本来はその価値を生み出すことに使える時間も平気で搾取していく人たちでございます。

きっと私もそんな失礼をたくさんの方にしてきたのだと思います。
同じ商売人として恥ずべきことでございます。気づけば死にたくなるほど恥ずかしいことでございます。
こういう人たちが居なくなれば、日本のデフレも解消するんじゃなかろうか?
この愚案、機会があればデフレ脱却に心血を注がれる麻生太郎大臣に提言さしあげたいものです。

小さな田舎町に住む、私の師匠。
「年取ってきてしんどくなってきたけど、この干物を待ってくれとる人がおるけんなぁ。」
冬場は夜明け前から、凍るような冷たさの魚を捌き、人気の干物を作っています。
この師匠、漁師さんが獲れすぎてお金にならないような魚をくれると言っても、商売で使う場合は必ず代金を支払うそうです。お金を受け取ってくれないなら貰わないそうです。
「わいは、乞食の商売はせん。貰いものを食べて生きることはあっても、貰いもので商売は絶対にせん。」

こんな心意気で生きていきたいものでございます。